業種は ゼネコン・工務店・設計事務所 と様々ですが、Jw_cadで書き上げた図面をデータとして他社へ受け渡す場合は、基本的に依頼された会社の基準に合わせるように事前の打ち合わせが一番大事です。
後戻りの作業が無いように レイヤ、線色(種)、文字 等など決り事は沢山有ると思います。
その基準は各社まちまちですが、その中でもこのような点に注意して、このようにしてみては? と思われる事を書いてみます。
あくまでも、私個人の 私見ですから、あ・し・か・ら・ず。
レイヤについて
Jw_cadのレイヤは、ご存知の通り16個のレイヤと16個のレイヤグループに分かれています。
このレイヤを上手に使って置くと、後々の編集、修正の作業に格段の差が出てきます。
◆ レイヤグループについて
レイヤグループは縮尺を持ちます。建築関係で使う縮尺は、1/100、1/50、1/30、1/20 が主です。この縮尺のレイヤグループを固定しています。レイヤグループの番号と縮尺の分母を対比させて解り易くしています。
レイヤグループ番号-0--1/100
レイヤグループ番号-1--1/10
レイヤグループ番号-2--1/20
レイヤグループ番号-3--1/30
レイヤグループ番号-4--1/40
レイヤグループ番号-5--1/50
残りのレイヤグループは、全て 1/1 に設定して置いて必要な場面で変更しています。
基本的に同じ縮尺の図面は同じレイヤグループに書いています。同縮尺でも、趣旨の違う図面など特別な場合はグループ分けをする場合も有りますが、極力レイヤグループは少なく簡素化するように心がけています。
また、自社のオリジナルな図面枠はFグループに縮尺 1/1 で描くように決めています。
この図面枠の描くFグループは、多くの会社で採用しているようです。そして、このFグループには図面枠の他は何も書かないというのが決り事です。
◆ レイヤについて
16個のレイヤをフルに活用するようにしています。
レイヤの分け方は、線色で分けたり、属性で分けたりと様々ですが・・私の場合は「部類」や「属性」での振り分けがほとんどです。
具体的な一例としては・・躯体図を例にとると・・
レイヤ番号-0--予備としてブランク
レイヤ番号-1--通り芯
レイヤ番号-2--躯体断面部分の線
レイヤ番号-3--梁の見上げ線
レイヤ番号-4--開口部(サッシ等)の線
レイヤ番号-5--階段、バルコニー等の見上げ線
レイヤ番号-6--特記その他
レイヤ番号-7--壁符号
レイヤ番号-8--断面符号
レイヤ番号-9--寸法
レイヤ番号-A--文字
レイヤ番号-B--梁符号
レイヤ番号-C--スラブ符号
レイヤ番号-D--開口部符号
レイヤ番号-E--ハッチ2
レイヤ番号-F--ハッチ1
レイヤ0の「予備としてブランク」とは、作図途中のなんでも有りのレイヤとして使ってます。
たとえば、「ちょっと任意の線色だけ他のレイヤへ移動して作業したいな。」
とか、「最終的には消してしまう参考図をコピーして来た時の置き場レイヤにする。」など等、用途は自由です。
上の例題については図面によって流動的ですが、レイヤ1の通り芯、4の開口部、9の寸法、Aの文字、Fのハッチ については全ての図面で共通としています。
そこで、このレイヤを環境設定ファイルで設定しています。
レイヤ1・・・レイヤ1を書込みレイヤに選択すると線色2の一点鎖線に設定。
レイヤ9・・・寸法コマンドを選択するとレイヤ9が書込みレイヤになるように設定。
同時に、線色と線種も設定。
Aの文字、Fのハッチも同様に設定しています。
(JWFファイルの LAYCOL、LAYTYP、COM_LAY で設定)
もう一点、レイヤの切り替えについて。
作業を進めていく過程で、せっかく決めたレイヤの場所に書き進めていくちょっとしたテクニックとして私は「属性取得」を使ってます。
たとえば、レイヤ3で梁の見上げ線を作図中に、バルコニーの見上げ線を追加したくなった。とした場合、レイヤボタンで書込みレイヤを5に変更して、線色種を線属性ダイヤログから選択してOK・・なんて事はしないです。
既に書かれているバルコニーの見上げ線を「属性取得」です。
これで線色は勿論、レイヤの切り替えも忘れずに出来ます。作業が進めば進むほど、レイヤバーと線属性バーは自分的には目視確認だけのバーとなっていきます。
◆ 線色・線種について
SXF対応拡張線色・種 は、極力使いません。
線色・種の種類が増えて大変便利なのですが、反面 JW_CAD(Dos版)から使用しているユーザーからすると誠に厄介な存在という事が少なからずあります。DXFファイルを読み込むとSXF対応拡張線で読み込まれるってって事もありますから。
標準色でもJW_CAD(Dos版)から2色増えただけでも、戸惑うユーザーも居ますので、余程の指示が無い限りはSXF対応拡張線色・種 は使わないで提供しています。
線色・種を変更する外部変形として
koさん作の「DXF線属性変更 JWW5.00e 用」
http://www.page.sannet.ne.jp/kiyoaki-oikawa/
KITIさん作の「線色入れ換え」「線種入れ換え」
http://homepage2.nifty.com/kiti_ku/
等が提供されているのも、この表れなのかもしれませんね。
このような事を書くと、Jw_cadの機能を否定しているかの様に聞こえるかもしれませんが、決してそんな事は無いですからね。お間違いの無いようにお願いします。
◆ 文字について
フォントは、自社で印刷したりならば変化の富んだフォントを使用しても良いでしょうが、他社へ渡すとなると「MS ゴシック」若しくは「MS 明朝」でしょうね。
お気に入りのフォントで綺麗に図面を書いても、そのフォントが相手のパソコンにインストールされて無かったら意味ないですからね。
Jw_cadの便利機能のひとつ、特殊文字や制御文字。
これも、Jw_cad 同士でのデータ交換ならば活躍しますが、渡した相手がそのデータをどのような活用をするか?他の形式データに変換する場合の事も考えれば無闇に多用できないな・・・と考えてます。
◆ 寸法について
寸法も、文字と同様に特殊なものは極力使いません。・・と言うか、受け渡し時に解除しています。
寸法で特殊といえば、寸法図形でしょうか。設定では寸法図形は外しています。作図中またはチェックバックされた図面の修正作業の時に初めて個々に設定しています。作図時には、この寸法図形は大変重宝します。
その作業中、同じ図面内のどの寸法が寸法図形なのか?って解らなくなってきちゃいますので、環境設定で寸法図形の文字色を変更しています。
--参照-- http://www.tmk-s.com/sb/log/eid12.html
寸法図形を使わない理由としては、施工図は図面(絵)よりも寸法値(数字)が重要視されます。
私の業務案内で出しているこの 参考躯体図 を見てもらえれば解りますが・・
必ずしも寸法線の上に寸法値が書かれているとは限りません。寸法値を微妙にずらしたり、引き出したりと表現は多種多様です。そしてこれは、はっきりした決りも無く描く人のイメージによります。
寸法値を編集するには、寸法図形で無い方が楽に出来ると思いますし、寸法値が一つの文字として置いた方が、渡された人も編集し易いと思います。
◆ まとめ
こうやって改めて書き進めていくと、多機能になった現在の最新バージョンは必要ないじゃん?? って思ってきます。(^^ゞ
私の廻りにも、「そんな難しい機能は要らない。これだけ有れば充分。」って人も多く居ます。
正直言ってプリントアウトして渡し、施工図として機能するには手書きで書いていた時代の事を考えれば、線と文字が書ければそれでOKなのです。
CADで書いた図面データを渡すとなると、渡す相手のスキルも考えながら極力オーソドックスなデータに仕上げて渡す。という事が最前提になって来ると思います。
その前提を元に、渡す側と受ける側との事前打ち合わせに置いて、レイヤは?線色は?文字は?寸法は?と、肉付けして行くのでしょうね。
受け渡す図面はオーソドックスでも、その過程(作図中)は自分成りの作図テクニックを使って少しでも作業効率を上げようと考えています。
その為にも最新の機能のチェック、検証はこまめに行う事が外注図面屋としての私の責務だと思っています。
最後にデータ変換ツールは、やはり Nakahara氏作の「JacConvert」が一番のお勧めですね。